稼ぐまちが地方を変える 木下斉著
★要約、考えたこと
(⇒以降が自分で考えたこと)
➤はじめに+おわりに
まちを一つの会社に見立てて経営する。
資金調達→投資→利益を上げる→それを元手に新しい事業に再投資
行政も同様。道路を通して周辺を整理することで、土地と建物から固定資産税、住民から住民税、所得税を徴収できる。行政も経営を意識し、人口が減少していく中、どうしたら事業を成立できるか、まちの利益率をあげていくかを考えなければ、まちの収入が減る分だけ、公共サービスが低下せざるを得ない。だからこそ、まちを一つの会社と見立てて経営し、稼ぎを増やすことで公共サービスを充実させる必要がある。
プロジェクトは値踏みしてはいけない。誰もやらなかったことをやるからこそ、その分野の一番手になることができる。一番手になれば、周りからさまざまな人が寄ってくる。連動して情報が集まり、資金も集まるようににある。
死ぬこと以外はリスクなどない。痛みを経験するからこそ、本気で考えることができる。様々なデータや情報は参考にはなるが、実際に知っていること、やること、出来ることはまるで違う。何が成功するなんて誰にも分らないのだから、さっさとやってみた者勝ちなのだ。いかに固定観念を捨てて、自分たちで自立した取り組みを積み上げていくか、それを全国の仲間で共有し、官民総出で進化させていけるか。
無計画・突発的に小さな事業を立ち上げ、意地でも自立させ継続させることが一つの新たな事例になる。それを全国で共有することが大切。
「やれるか、やれないか」ではなく、「やるかやらないか」。
➤補助金という、麻薬がまちを壊していく
補助金が付くことで、「やりたいことをやりたいやつが提案し、言い出しっぺが実行する」ことが、「予算を基になにができるか」に変わる。
金がないから知恵が出る。金があれば知恵が引っ込む。
まちづくりは、最終的には利益(まち全体の利益)を生まなければ意味がない。地域内の一部の個人だけが儲かっていては意味がない。
⇒地域からいただいたお金は地域に再投資する。当然のこと。お金とエネルギーと価値を循環させるイメージ。
➤資産価値を自分で高める
商店街ネットワークの社長だった著者の最大の関心ごとは、どうすれば商店街を活性化し、自社の利益を上げることができるのかということ。
アメリカでは不動産オーナーが先頭になって、積極的に地域に投資をしている。なぜなら「自分の資産価値を高めるため」。アメリカでは、資産運用や得をするために地域に投資がされている。不動産オーナーは優良(=稼げる)なテナントを誘致したいため、建物や周辺の地域を魅力的に見せるために投資をする。この際、自分だけではできないことがあるから、組織を組んで共同でエリアに投資をする。
魅力的な店が増えれば、エリアの魅力が高まる。そうすれば地元の価値が上がり、さらに出店者が集まる。すると地価が上がり、賃貸料があがり、オーナーが儲かる。こういう好循環が生まれればオーナーは投資回収ができるというわけだ。
⇒まちの価値=不動産の価値=人が求めている数
日本はまだ行政主導型のまちづくり。行政の公共投資は直接的な儲けを目指していない。民間がまちに一銭も投資しないまちが非常に多く、「自分たちの稼ぎは自分たちであげる」という発想がない。
まちづくりには、不動産オーナーが主体となり、自分たちの資産価値を守るために投資し、回収するという方法がある。
➤相手に3回得をさせろ
不動産オーナーに対してお金を出すことが損ではなく、特だと思わせるシステムをつくることが大切。まずは、事業を作り、相手に三回得をしてもらう。信頼関係はまず相手側に、メリットを実感してもらってから。
➤重要なのはカリスマよりもシステムだ
利益はまちに新しい人が入ってくるように再投資することが基本。重要なことはシステムをつくりあげ、臨機応変に作り直すこと。最終的に核となる人がいなくても、システムが回る仕組みが出来上がっていたら理想。カリスマが一人いても、その人がいなくなったら頓挫するような組織よりよっぽどいい。
⇒今の自分にも言える。
➤事業目的とターゲットを明確にせよ
地域の売り上げを作り、事業のコストを絞り、利益率を注視し、地域への再投資につなげていく。ここまで考えられて、初めて地域経済へ変化をもたらし、利益を生み、ビジネスとして成立する。
⇒今の事業を地域への再投資に結びつけるシステムを考える。
「まち会社」…まちの不動産オーナーと共に設立し、各不動産や店舗の改善を行い、エリアの価値を高めていく、目的、顧客、収入減が明確なビジネスを行う会社。
まち会社の主な業務…顧客の不動産の維持管理費を削り、空きフロアを改装して価値を高め、粗利率の高い新規テナントにより新たな売り上げを作り、不動産が面している道路の美化と活用を促進しエリア全体を含めた資産価値を高めること。
まち会社の顧客は第一に不動産オーナー、第二にテナント、第三に消費者。
「まちのみんなのために」というすべての顧客を一緒に考える事はあってはならない。
まちを本気で活性化させたいならば、まち会社はまず第一次顧客である不動産オーナーに向けてサービスを提供し、その事業が黒字になることが大前提である。
まちをよくするためには、誰と何を変えていくのか意識する必要がある。それがあいまいだと、「みんなのため」というあいまいな目的で誰のためにもならないという事がある。